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精密同軸コネクタ「KPCシリーズ」の説明

マイクロ波/ミリ波と同軸コネクタ

一昔前はマイクロ波やミリ波の伝送路は導波管が一般的でした。
一般的に同軸線路は周波数が高くなればなるほど伝送損失が大きくなる特性があります。
世の中の技術が進んで,低損失な誘電体を使った同軸線路や,より高精度な加工が可能になる精密工作機械などが世の中に普及してきたため、次々と高い周波数で利用できる同軸コネクタが標準化されてきています。

さて、ミリ波帯まで使用可能な同軸コネクタとしては,IEEE(米国電気電子学会)の標準で定められている規格の精密コネクタが一般に知られています。
具体的には,上限周波数 26.5GHzの3.5mmコネクタ、40GHzの2.92mmコネクタ、50GHzの2.4mmコネクタ、65GHzの1.85mmコネクタ、そして 110GHzの1mmコネクタなどがこのグループに属しています。

なお、2.92mmは「Kコネクタ」、1.85 mmは「Vコネクタ」という名称で呼ばれることがありますが、これらはいずれも米国Wiltron社[現:アンリツ㈱]の商品名であり、一般名称ではないことにご注意ください。

そのほかのマイクロ波/ミリ波用同軸コネクタとしては,米国のMIL規格で定められたN型コネクタやSMAコネクタ,プッシュオン・タイプのSMPコネクタやSMPMコネクタがあります。N型やSMA型は一般的に普及している無線機器で広く使われております。


<写真> マイクロ波やミリ波で使われる同軸コネクタ

当社では、長年培ってきた設計技術と高度な製造技術により、高精度・高性能の同軸コネクタを実現しております。

<表> 同軸コネクタの種類と当社の型番

コネクタ名称 上限周波数
(理論値/一般値)
標準化 アダプタの嵌合面(オス/メス) 当社の型番
N 19.4GHz/
18GHz
MIL,IEEE N
SMA 25.1GHz/
18GHz
MIL SMA
SMP 43.5GHz/
40GHz
MIL
SMPM 66GHz/
65GHz
MIL SMPM
3.5mm 38.8GHz/
33GHz
IEEE KPC350
2.92mm 46GHz/
40GHz
IEEE,MIL KPC292
2.4mm 56.5GHz/
50GHz
IEEE,MIL KPC240
1.85mm 73.3GHz/
65GHz
IEEE KPC185
1mm 135.7GHz/
110GHz
IEEE KPC100

注:上限周波数(一般値)は、個々のメーカにより異なります。

IEEE準拠の精密コネクタ

中心導体の耐久性

ほとんどの同軸コネクタは、中心導体が摺動し外部導体がねじ留めで相手方と嵌合するのが一般的です。普通に使っていれば、繰り返し嵌合することによって摩耗が起きるのはこの2か所です。ねじ部分については規定のトルク値で締め付けている限り、そう簡単に壊れることは考えられません。中心導体も、普通に使っていればメス・コネクタのソケット部分が開いたり、オス・コネクタのピンが折れたりすることはまずないと思います。

ただし,仮に嵌合できるコネクタの組み合わせであっても、規格違いのコネクタを差し込んだりすることは想定していません。例えば、SMAコネクタと精密コネクタのKPC350は、嵌合できてしまいます。

SMAコネクタは安価なため多くの場面で使用されていますが、設計・製造がラフなため特性はKPC350と比較してかなり差があります。
更に、部品としての製造精度が異なるため、嵌合させることにより、最悪の場合はKPC350を壊してしまうこともありますのでご注意ください。

IEEEの精密コネクタ標準と挿抜試験

IEEEの精密コネクタ標準では、嵌合の繰り返しによるライフサイクルは2000回から5000回以上と定められています。それだけ抜き挿しを繰り返しても電気的特性が変わらないことが求められています。
当社では、中心導体の挿抜を10000回繰り返し、その前後における電気特性を比較した実験をしております。

<図> 1万回の挿抜を繰り返した同軸コネクタの特性変化の例

「KPCシリーズ」と今後の開発に向けて

当社の精密同軸コネクタ「KPCシリーズ」は、高周波特性および、信頼性を実現する製品として、誇りと自信をもって皆様にお届けいたします。

更に、時代の最先端となる製品を開発してまいりますので、世の中にまだないコネクタや、非常に実現が難しいコネクタなど、新たなご用命を承りますので、お問い合わせいただけると幸いです。

極低温で使用可能な、量子コンピュータ用の完全非磁性タイプの同軸コネクタなども開発、提供しております。

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